但馬の海岸 名勝・奇勝
【たじまのかいがん めいしょう・きしょう】

鎧の袖(香住海岸)
・県指定天然記念物

釣り鐘洞門(香住海岸)
・県指定天然記念物
●関連情報
山陰海岸ジオパーク
但馬海岸は、火山活動や地殻変動によってできた岩石海岸で、但馬山地の山麓部が直接日本海に接しています。そのため、平野は少なく、山すそが日本海の荒波に削られて、いたるところに険しい断崖絶壁や洞門などをつくり出しています。岩には多くの断層や節理による岩石の割れ目ができ、それに沿って浸食された、出入りの激しいリアス式海岸です。
丹後半島の網野海岸から但馬海岸全域、そして、鳥取砂丘までの延長約75kmにおよぶ海岸線は、山陰海岸国立公園に指定されています。
複雑な海岸線に連なるこれらの奇観は、自然のつくりあげた芸術として見ごたえがあり、新温泉町(旧浜坂町)・岸田川河口から香美町香住区・井笹崎までの海岸一帯は、国の名勝天然記念物「但馬御火浦」(たじまみほのうら)に指定されています。

■海食崖
香住海岸の「鎧の袖」は、幅200m、高さ65m、角度70度でそそり立つ断崖。粗面岩質流紋岩の溶岩の割れ目の模様が、武者の鎧の袖に似ているところからこの名がつきました。美しく迫力ある大海食崖で、天然記念物に指定され、日本百景にも選ばれています。ほかに、「但馬赤壁」や松ヶ鼻の「百層崖」など、さまざまな海食崖が見られます。
■洞門
また、洞門も非常に多く、天然記念物に指定されている「釣り鐘洞門」(香美町香住区)は、洞内の中心部の高さ32m、直径30m、広さ約190畳、水深10mで、昼なお暗く、イワツバメやコウモリが生息しています。遊覧船で中まで入れる数少ない洞門のひとつで、文字どおり釣り鐘をふせたような形をしており、地底に入るようなスリル感が観光客に喜ばれています。
■岩棚
香美町香住区今子浦の「千畳敷」や、豊岡市竹野町猫崎半島には、波食棚といわれる、広い岩棚があります。
■甌穴(おうけつ)
新温泉町(旧浜坂町)釜屋の池ノ島には、ポットホールといわれる円形の甌穴が3カ所できており、最大のものは直径5m、深さ5mもあります。数千年の歳月をかけて、波が岩棚の石を回転させて掘り下げていったものです。
■砂浜
砂浜の海岸は円山川、竹野川、矢田川、岸田川の河口部にわずかに広がり、夏は近畿圏の海水浴場としてにぎわっています。
■漁港
東から、津居山港(豊岡市)、竹野港(豊岡市竹野町)、柴山港(香美町香住区)、香住港(香美町香住区)、浜坂港(新温泉町・旧浜坂町)の、5つの良港をかかえています。