ウツギノヒメハナバチ

ウツギの花粉や蜜を集めるメス。後ろ足に幼虫のエサとなる黄色の花粉がついています。
ウツギノヒメハナバチ
群生地(楽音寺)

・県指定天然記念物
・朝来市山東町楽音寺579
・TEL 079-676-2340

 

●関連情報
ウツギノヒメハナバチの不思議

●朝来市山東町・楽音寺の境内は、日本一の群生地
白く可憐な花を咲かせるウツギ(ウノハナ)の花粉と蜜で生きているウツギノヒメハナバチは、ウツギの木から半径数百mの範囲でしか生活していけません。そのため、この名前がつきました。学名はアンドレナ・プロストミアス。
ウツギの木がある九州から東北にかけて生息しており、但馬各所にもいますが、特に朝来市山東町「楽音寺」(がくおんじ)は、全国でも類を見ないほどの群生地として有名です。ウツギの花が咲く5月末~6月中旬、梅雨入り前の晴天が続くころになると、楽音寺の境内、600平方メートルの前庭は、成虫になって土の中から出てきたハチが一面に飛び回ります。ハチが飛び出した土の表面は穴があいて盛り上がり、庭がまるで月のクレーターのよう。その上を、最盛期には何万というハチが乱舞する光景は圧巻です。

境内にこのハチが住み着いたのは、100年以上も前からだそうで、境内の土壌(花崗岩の風化した真砂土)、水はけ、通気性、保水性、日照時間などが、営巣場所として最適だったのだろうということです。

●晴天の早朝、土の中から出てきます
ウツギノヒメハナバチは、オスが体長10~11mm、メスが12~13mmと、メスの方がひとまわり大きく、オスには頭に黄緑色の斑点があります。単独性で、メスが花粉や蜜を集めるため、足に黄色い花粉をつけているのがメスです。ミツバチのように刺したりはしません。
天気の良い早朝、7~8時ごろ土の中から出てきて、はじめは地面をはっていますが、気温が上昇して体の湿り気がなくなると、地上30~60cmくらいの高さで飛行し、ウツギの花を求めて境内から飛び立ち、後ろ足に花粉や蜜をいっぱいつけてもどってきます。そして土の中の育房に持ち込んだ花粉と蜜で、まん丸の花粉団子(約5mm)をつくり、そこに卵1個を産卵します。ふ化した幼虫は花粉団子を約1ヶ月で食べつくし、あとは静かに越冬します。

すっかり初夏の風物詩となったハチの乱舞ですが、20年前と比べると、ハチや巣の数がずいぶん減ったということです。