おりゅう柳【おりゅうやなぎ】
おりゅう柳
おりゅう柳
おりゅう柳
(養父市)
・養父市八鹿町国木
植えられた柳の木の後ろには直径約30m、深さ約2mほどの窪地があります。おりゅう柳は高さ120m以上もあったと伝えられています。

 

切れない動かない、不思議な伝説が残る
地名「高柳」の由来となった大柳

養父市八鹿町・県立但馬全天候運動場の東側に、1本の柳の木が植えられています。その後ろにある大きな窪地。ここには窪地いっぱいに根をはった柳の大木があったと伝えられており、「おりゅう柳」伝説の場所となっています。その大柳は「高柳」の地名の元になったとされています。
昔、高柳におりゅうという美しい女性が住んでおり、夫・子どもと共に幸せに暮らしていました。八鹿の栂山のふもとには大柳があり、おりゅうが長い髪をすくと、その柳の枝が風のない日でも音をたてて揺れていたそうです。
さて、この頃京の都では御門の病気回復祈願すのため、三十三間堂という大きな寺が建てられることになりました。そして材木に大柳が選ばれます。
村人は守り神の大柳を切りたくありませんでしたが、仕方なく切り倒し始めました。しかし次の日、驚いたことに切り口が見当たりません。再度切り始めますが、やはり次の日には切り口がなくなっていました。
そこで村人たちは寝ずの番をすることにしましたが、途中で眠ってしまいます。すると夢に老人が現れてこういいました。
「私は柳に巻き付いているかずら。柳を切りたいのなら、木くずを燃やしなさい。夜になると木の精たちが集まり、傷口をふさいでいるのだ。私も助けようとしたが邪魔者扱いされたので、悔しくて秘密を教えることにした」。
それから木くずを焼くと切り口はふさがらなくなってしまったそうです。
やっと切り倒した柳を京へ運ぼうとしますが、今度はびくとも動きません。みんなが困り果てていた時、突然男の子が大柳の上によじ登りました。すると柳はするすると動き始めます。「あれはおりゅうの子のみどり丸ではないか」と声があがりました。おりゅうは柳が切り倒されたその時刻に息を引き取っていました。結局、京へ7日かけて運ばれましたが、みどり丸が上に乗らないと柳は動かなかったそうです。おりゅうはやっぱり柳の精だったのでしょうか。
似た話に、文楽の人形芝居として有名な「三十三間堂棟木由来」があります。これは男女の恋物語の話で、全国的に広く知られています。