戊辰年銘大刀【ぼしんねんめいたち】

戊辰年銘大刀
・養父市八鹿町国木

・国指定考古

・兵庫県立歴史博物館所蔵

●関連情報
養父市役所

●箕谷古墳群から608年にあたる鉄刀が出土

昭和58年8月、つるぎが丘公園の建設に先立つ埋蔵文化財調査で、箕谷2号墳から100点以上の遺物とともに一本の鉄刀が出土しました。X線検査の結果、銅で象嵌(ぞうがん)された「戊辰年五月(中)」の大文字が判読され、また、この鉄刀は、奈良・飛鳥時代の天皇が儀式用に使った「圭頭大刀(けいとうたち)」と呼ばれる形式であることもわかりました。
日本最古の銅象嵌で、この大刀は銘文から戊辰年銘大刀(ぼしんねんめいたち)と呼んでいますが、戊辰年は「つちのえたつ」という干支(かんし)年号で、推古(すいこ)天皇16年(608)にあたることから、全国の古墳の実年代を考える基準資料として注目されています。銘文は刀身の柄(つか)よりに「戊辰年五月(中)」の6文字を刻んでいます。鉄にタガネで線を彫り、その線に銅線をうめこんで文字を書く、銅象嵌という方法です。これは日本最古の銅象嵌の技法です。文字は1字1cmほどで、銅線は0.2~0.4mmという細いものです。
書風はのびのある柔らかい筆勢で書かれ、全体として中国六朝(りくちょう)的な様相を残しています。特に 「五 」の字は円筆(えんぴつ)という特色があります。日本にある銘文鉄刀は全国で8本だけの珍しいものです。兵庫県立歴史博物館に保管展示され、レプリカは、つるぎが丘公園体育館に展示されています。