コウノトリ伝説
【こうのとりでんせつ】

コウノトリ伝説
コウノトリ伝説
久々比神社
・豊岡市下宮
日本で唯一、コウノトリにゆかりがある神社。室町末期の建造と推定され、三間社流造の建物である本殿は国の重要文化財に指定されています。

 

 

皇子の心を動かしたコウノトリ

大空を優雅に舞うコウノトリの里、豊岡市の「久々比神社」には、「日本書紀」に記述が残るコウノトリ伝説が古くから伝わっています。

「久々比」とは鵠のことで、コウノトリのことを意味します。垂仁天皇が誉津別皇子を連れ、宮殿の前に立った時、コウノトリが大空を飛んでいました。その時、皇子が「これは何という名の鳥だ」と言葉を発します。皇子は30歳でしたが、まだ言葉を話すことができず、赤ん坊の泣き声のような声しか出ませんでした。この時初めて人並みの言葉を話したのです。天皇は大変喜び、「誰かあの鳥を捕まえて献上せよ」と言い、天湯河板挙が「私が必ず捕らえて献上します」と申し出て、大鳥が飛び行く国々を追いかけました。そして、出雲国か但馬国で捕らえ、献上したといわれています。

このことからコウノトリは霊鳥として大切にされ、その鳥が棲んでいる土地を久々比と呼び、木の神「久々遅命」をお祀りしました。これが久々比神社となったそうです。コウノトリは子宝を運んでくるという言い伝えから、全国から多くの人々が参拝に訪れ、境内にはたくさんのコウノトリ絵馬がかけられています。