旧大岡寺庭園【きゅうおおおかじていえん】
大岡寺庭園
旧大岡寺庭園
・豊岡市日高町大岡
・国指定名勝
●戦国末期武家好みの作風

大岡山の山中、標高507mにある旧大岡寺に残る庭園。この枯山水庭園は、巨岩が林立し、特に滝部の石組は桃山初期の様式をよく保ち、朝倉氏諏訪館庭園(福井県)に見られるような作庭手法と感覚的に似たところが多く、戦国末期の作庭と考えられます。
大岡寺の歴史は古く、縁起によると奈良時代に賢者仙人によって開かれたと言われ、永暦2年(1161)の記録によると、薬師堂、護法所、拝殿、温屋、僧坊などの堂舎のほか、大岡神社、白山権現社などが建立されていたことが記されています。しかし、明応4年(1495)の火事で焼失、その後再建され、近年まで護摩堂、鐘楼、梵鐘、仁王門がありましたが、昭和38年頃から周辺の民家が山麓へ集団疎開し、昭和42年、寺も移築、現在は庭園だけが残されています。
庭園構成は、庫裡と本堂の間に作庭された面積約365平方メートル(110坪)の池泉観賞式庭園で、要所に巨石と立石を配し、しかも大岡山の斜面を利用して、裏山も取り込み広がりがあります。中心は滝石組で、もとは頂上付近から流れ出る水が滝へ注がれていたと考えられます。滝上部の立石は守護石と考えられ、本庭の中心地石でもあり堂々とした風格があります。
昭和47年、国の名勝にも指定されています。