但馬の山【たじまのやま】

氷ノ山の頂を望む

神鍋高原より東床尾山を望む
スキー場の広がる但馬山地は、県下一の高さを誇り「兵庫の屋根」といわれる氷ノ山(1,510m)をはじめ、鉢伏山(1,221m)、扇ノ山(1,310m)など、1,000mを越える山々が連なっています。中国山地の東端に位置する但馬山地は、第三紀末の火山活動によって、なだらかな古い山並みの上に突き出すようにできた山々で、氷ノ山では、山頂部の荒々しい岩肌と、斜面に沿って流れた溶岩によってできたゆるやかな斜面が対照的です。
山頂平坦部の周辺の谷は急崖となって、いたるところに滝や渓谷ができ、浸食が進み、荒々しい岩肌を見せる急斜面が多い、壮年期的な山地です。山頂周辺の厚い溶岩台地の末端部には、霧ヶ滝、瀞川滝、不動滝、天滝など、多くの美しい渓谷ができ、ハイキングコースとなっています。ゲレンデの多くは標高600~800mの高原ですが、鉢伏高原では1,221mの山頂までリフトで登れ、南に氷ノ山の樹氷や白銀の尾根を望む山頂からの眺望がすばらしく、別世界のようです。
但馬山地には、神鍋山や宝山(夜久野高原)など、第四紀にできた新しい火山もあります。お椀を伏せたようなスコリア丘は、形も崩れず、すり鉢のような火口を広げています。しかし、森林伐採の波に浸食されて、ブナ、トチ、ナラなどの原生林が次々に伐採され、山頂部や渓谷の一部に残るだけとなっています。

かつて山には多くの木地師が住み、住居を転々と移しながら、豊かな原料に支えられて「ろくろ」を回していましたが、今はその跡もありません。
冬の白銀の山々も、ザゼンソウやミズバショウなど高山性の草花が咲き乱れる春を迎え、夏は深山幽谷のうっそうとした森となり、秋には紅葉に彩られて、四季それぞれに美しく、氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されています。
標高1,000mの畑ヶ平高原では、火山灰層などから旧石器時代の石器が、また、標高600mの鉢伏高原や兎和野高原では縄文遺跡が発見されました。

但馬の代表的な山を紹介しました