オオサンショウウオ

オオサンショウウオ

・国指定特別天然記念物
(場所は不特定)

●世界最大の両生類、世界でたった3種の貴重な生物
「生きた化石」といわれるオオサンショウウオは世界最大の両生類で、カエルやイモリの仲間です。その発生は2億年前にも遡りますが、ヨーロッパでは氷河期を経てほとんどが滅び、現在地球上では、日本、中国、アメリカで、わずか3種しか残っていないという貴重な生物です。アメリカのものは「ヘルベンダー」(地獄に向かう人)と呼ばれ、大きくて70cmほど、中国のものは「ワーワーユイ」と呼ばれ、150cmほどになるそうです。

●但馬では身近にみられる特別天然記念物
オオサンショウウオは、山間の清流のくぼみ(穴)などを好んで棲み、小魚・サワガニ・カエル・水中昆虫などをエサにしています。夜行性で、昼間は岩の下や川岸の巣穴にひそんでいて、暗くなると川の中に出てきます。大きさは一般に40~120cmで、160cmに達するものもあり、体の色は黒褐色で黒い斑紋があります。皮膚に多くのイボがあって、これを刺激すると山椒(さんしょう)のような香りの乳白色の液を出すところから、サンショウウオの名がついたようです。
アンコ、ハンギ、ハンザキとも呼ばれ、半分に裂いても死なないほど強い生命力をもつとか、食いついたら雷が鳴るまで放さないなどとも伝えられ、不老長寿の食べ物として用いられたこともあったとか。
産卵は9月ごろにおこなわれ、40~50日でふ化。ふ化した幼生は、4~5年で25cm前後になり、このころエラがなくなって変態が完了します。寿命ははっきりしませんが、60年以上も生きた例が報告されています。

兵庫県では但馬・丹波などのほとんどの河川の上流部に生息していることがわかりました。但馬では円山川、大屋川、八木川、出石川、竹野川など、どこにでもいる身近な生き物といえるでしょう。オオサンショウウオが棲むには、エサとなる生き物が豊富で生態系が保たれ、川岸に住みかとなるくぼみや奥行きのある産卵巣などが必要です。平成2年から6年間かけて行われた養父市建屋川の治水工事では、オオサンショウウオの生息と治水を両立させるため、全国でも初めてのさまざまな取り組みがおこなわれました。