古生沼の高地湿原植物群落
【こせいぬまのこうちしつげんしょくぶつぐんらく】 |
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●国内高山性湿原植物群落の南限地 氷ノ山は、兵庫県の最高峰で、標高は1,500m余り。それなのに、山頂付近の湿地や岩場には氷河時代の植物が今も生き残っています。これらは残存植物と呼ばれ、とくに貴重な植物です。 氷ノ山の頂上から東方へ130mほど下ったあたり、養父市奈良尾と養父市大屋町横行にまたがる、標高1,498m、面積1,000平方メートルほどの湿原があり、豊富な湿原植物が自生しています。北方系の亜高山植物の宝庫で、オオミズゴケ、ヒメミズゴケ層がよく発達し、その中にツマトリソウ、クサゴケ、コイヌノハナヒゲ、アイバソウ、トキソウ、キソチドリ、バイケイソウなどが生え、池の部分にはヤチスゲが、周辺の半乾湿地にはアカモノ、エゾリンドウ、モウセンゴケ、マイズルソウが、さらにその周辺にはイヌツゲ、アカミノイヌツゲなどが生い茂り、湿地を囲む低木としてはクロモジ、マンサク、キャラボク、ナナカマド、アシオスギなど、50種以上が自生しています。 ここは国内高山性湿原植物群落の南限地で、1965年、県の天然記念物に指定されています。人の手の入らない原始の世界が残る氷ノ山の、ふところの深い豊かな自然の表情がこの湿原にもうかがえます。 |