栃が谷平のアスナロ群生【とちがやなるのあすなろぐんせい】

栃が谷平のアスナロ群生

・県指定天然記念物
・豊岡市日高町稲葉

●西日本唯一のアスナロ群生地
豊岡市日高町を流れる稲場川の支流、栃が谷平川沿いの山の北西斜面にアスナロ群生があります。標高550~650mの辺りに約7haにわたって群生地が広がっています。

比較的なだらかなところでは、ブナ、ミズナラなど数種の落葉樹や天然のスギが混生し、それらの間に散在しています。また、50度近い傾斜のガケ地のようなところでは、ツクシシャクナゲ と混生し、トチノキ、サワグルミ、カツラなどのトチノキ群落と近接しています。全国各地に自生しているアスナロですが、このようなアスナロ林は全国的にみても珍しいといいます。
アスナロは「明日はヒノキになろう」の意が語源であるといわれる日本原産の木です。ヒノキの仲間で、うろこ状の小葉は最も大きく、一見シャモの脚の皮のように見えます。苗木植栽後、10年ほどは生育が遅いですが、その後は盛んに成長し、高さ30m、胸高直径60cmくらいになります。建築材、橋梁材、家具材、漆器木地などに利用され、耐水性ではヒノキに優るといわれています。
兵庫県ではこの地域のみにアスナロが分布しており、昭和43年(1968)に県の天然記念物に指定されました。