2023/01/13  

瀞川山【とろかわやま】

 

瀞川山【とろかわやま】


・香美町村岡

●関連情報
やまもり村岡
●氷ノ山後山那岐山国定公園の中心部に位置する自然度の高い高原
標高1,039m。巨牛が寝そべっている形の山で、村岡区側は比較的なだらかですが、小代(おじろ)区側の山腹は急峻でイヌワシやクマが生息しています。今から250万年ほど前に活動した火山で、林道のあちこちで溶岩や火山砕屑物(さいせつぶつ)を見ることができるのも特徴です。瀞川山の村岡区側に広がったなだらかな高原を瀞川平(とろかわだいら)といい、その一角に兎和野(うわの)高原があります。森の真ん中に2km近くも続くまっすぐな林道があり、秋にはカラマツが黄金色に染まり雄大な景観が広がります。初心者でも登りやすく四季折々、見どころの多い登山ルートはハイキングにも人気です。

2015/02/10  

ブナ原生林【ぶなげんせいりん】

 

ブナ原生林【ぶなげんせいりん】

ブナ林

冬のブナ林
小城のブナ原生林
・県指定天然記念物
・香美町村岡区山田、小城
●ブナ林は、自然の豊かさのバロメーター
代表的な落葉広葉樹林であるブナ林は、自然の豊かさを知るバロメーター。ブナの森は低木や草木など、いろいろな植物で形成されています。日本では、北海道の西南部、関東地方以北の東北地方全域、中部地方以南の山地の上部がブナ林帯になります。兵庫県では太平洋側では標高約800m、日本海側では標高約350mあたりからブナが分布しています。但馬などの日本海側は「ブナ―チシマザサ型」と呼ばれ、チシマザサ(これの子どもがスズコ)、ヒメアオキ、ヒメモチ(ともに常緑の低木)、ヤマソテツ(シダ)などで構成されています。
ブナは、およそ100年前後で15~20mになり、最大で高さ35m前後、直径1.5mに達します。数百年の歳月を経て成長したブナの大木は、地下深く根を張り、年々の落ち葉を積み重ねて30cmを越える腐植層をつくり、その中にたくさんの動植物を育んでいます。ブナ林はすぐれた保水力をもっています。土の中の水分はゆっくり時間をかけて清水となって湧き出たり、渓流に流れ出たりして一定に保たれており、積雪や豪雨が襲っても、一気に川に流れ込むことがなく、麓の人の暮らしを洪水から守り、干ばつの時には豊かな地下水を供給してくれます。広大なブナの原生林は、ツキノワグマ、ニホンジカ、ニホンザル、イノシシなど多くの動物の住みかとなり、豊かなエサを与えます。
●ブナの原生林が守っていたもの

しかし、昭和40年代、全国的に大型機を導入してブナを伐採し、スギやヒノキの植林が進みました。但馬も例外ではありません。現在、但馬には伐採をのがれたブナ林が、大屋、美方、村岡、関宮、温泉、日高などに点在していますが、多くは見本林的なもので、本来の姿はありません。そんな中で、日高町万場の谷の奥には、胸高幹まわり6.15m、根本幹まわり5mという全国2位のブナの巨木が、香美町村岡区萩山の一二峠にも県下最大級のブナがあります。
香美町村岡区小城のブナ原生林は、1968年に、県の天然記念物に指定されました。
開発によってブナのなくなった山は保水力を失って、豪雨の際に山崩れを起こし、住みかやエサを奪われた動物が人里に出没するようになるなどの悲劇が起こっています。長い時間をかけて徐々につくられた原生林の環境を取り戻すには、100年単位の長い時間が必要です。

2015/01/31  

小長辿の大トチ【こながたわのおおとち】

 

小長辿の大トチ【こながたわのおおとち】

小長辿の大トチ

・県指定天然記念物
・香美町小代区大谷

●4方向に枝分かれした奇木
香美町小代区の中心地・大谷地区より久須部川を約6kmさかのぼった場所に、現在では廃村になった小長辿(こながたわ)集落があります。ここからさらに約300mほど奥に入った場所に、県指定の天然記念物・小長辿(こながたわ)の大トチがそびえ立っています。
樹齢は約1,000年といわれ、枝張りは東西、南北に29m以上、樹高は27mに達する巨木。
大トチの木は急傾斜地にあり、根元から約2mあたりで4本の大枝に分かれ、3本はトチノキの樹皮ですが、残りの1本は枝変わりしていて、縮れています。同じ樹幹から枝分かれした枝が1本だけ異なるため、奇木としても有名です。
小長辿地区は標高700mの場所にあり、地形が急峻なため、かつて人が住んでいた頃にはひどい雪崩に悩まされていました。村の人々は、この大トチと周辺に植生しているトチ林が雪崩の防御になるとして、大事に保護してきました。木の根元には大トチを祀る祠があり、村人のこのトチの木に対する気持ちが伝わってきます。

山陰海岸ジオパーク

 

山陰海岸ジオパーク

玄武洞(豊岡市) 


はさかり岩(豊岡市)
今子浦のかえる島(香美町)


鎧の袖(香美町)


三尾大島(新温泉町)

 

●関連情報
山陰海岸ジオパーク


●貴重な地質遺産「山陰海岸ジオパーク」
「ジオパーク」とは、科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産を複数含む一種の自然公園です。地質遺産保全と地球科学普及に利用し、地質遺産を観光の対象とするジオツーリズムを通じて地域社会の活性化を目指しており、ユネスコの支援のもと、主にヨーロッパや中国で積極的に取り組まれています。
山陰海岸ジオパークのエリアは、山陰海岸国立公園(京都府八丁浜海岸から鳥取県鳥取砂丘まで)を中心として、東は京丹後市の経ケ岬から、西は鳥取市の湖山池の西端を通って白兎海岸までの東西約110キロメートル、南北最大約30キロメートルからなります。京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美町・鳥取市)をまたがる広大なエリアを対象としています。
また、北丹後地震時の地震断層である郷村断層・山田断層、鳥取地震の地震断層である鹿野断層・吉岡断層、更新世に活動した玄武洞、火山地形を残す神鍋山(火山群)及び扇ノ山(第四紀火山)などの貴重な地質遺産もエリアに含まれています。
日本列島がアジア大陸の一部であった時代の岩石から、今日に至るまでの経過が確認できる貴重なエリアで、平成20年12月、日本ジオパーク委員会から日本ジオパークとして認定されました。
そして平成22年10月4日、ついに「世界ジオパークネットワーク」への加盟が認定されました。

こちらより山陰海岸ジオパークの動画をご覧いただけます。

漣痕化石【れんこんかせき】

 

漣痕化石【れんこんかせき】

・県指定文化財
・香美町香住区下浜

●浸食作用で作られた規則的な微地形
水に接する砂質の堆積物の表面には、波の作用で作られた周期的なうねり模様が残ることがあります。
これを「漣痕(リップルマーク)」と呼びます。

約2,000万年前、香住区下浜付近一帯は「古浜坂湖」という淡水湖で、底の泥に刻まれた波の跡は、礫質の砂の層に覆われていました。
それが化石となって残り、海抜14mの地層中に波長50~60cmの波形が延長50m、東西方向に並んでいます。

鎧の袖【よろいのそで】

 

鎧の袖【よろいのそで】

・国指定天然記念物
・香美町香住区下浜

●斜度70度でそそり立つ断崖
幅200m、高さ70m、斜度70度でそそり立つ断崖。
約1,000万~300万年前の火山活動によって形成されたといわれています。

柱状節理の発達した流紋岩質デイサイトからなり、上部には板状の岩石の割れ目が発達しています。
その形状が鎧の“おどし”(袖)に似ていることから、この名前がついています。
美しく迫力ある大海食崖で、国の天然記念物に指定され、日本百景にも選定されています。
また、延長線上にある「鷹ノ巣島」と「蜂ノ巣島」は、鎧の袖の岩床が海食によって海中に分離してできたもので、この2島も柱状節理が発達し、美しい景観をみせています。

但馬御火浦【たじまみほのうら】

 

但馬御火浦【たじまみほのうら】

旭洞門


三尾大島

・新温泉町~香美町
・国指定名勝・天然記念物

●火山活動の様子や海食地形を観察
新温泉町浜坂湾東部の小浜谷から香美町香住区伊笹岬の間の海岸を指します。
この一帯は、昔ここで起きた火山活動の様子や海食地形を観察することができます。
西南西、東北東方向の直線的な海岸線は、海食崖や礫浜の奇岩怪石が続いています。

特に三尾地区では、貫入岩の流紋岩質デイサイトの美しい柱状節理からなる「三尾大島」が素晴らしい景観をみせてくれます。遊覧船からは三尾大島をはじめ、柱状節理・岩脈・洞門などが多くの地学現象が観察されます。

香住海岸【かすみかいがん】

 

香住海岸【かすみかいがん】

・鷹ノ巣島


・めがね洞門

・香美町香住区境~下浜
・国指定名勝

●山陰海岸における最も湾入に富んだ隆起海岸
山陰海岸における最も湾入に富んだ隆起海岸で、入り組んだ海岸美や洞門、奇岩が点在しています。
香美町香住区の境~下浜に至る海岸線を指し、複雑に屈曲した海岸線に、無数の洞窟や断崖、奇岩が連なり見事な造形美をつくり出しています。
エリア内には国指定天然記念物の鎧の袖や鷹ノ巣島、但馬松島、めがね洞門などの景勝地があります。特に遊覧船からはさまざまな地質が見られます。
また、海岸の岩場には多くの動物の足跡化石や流痕など貴重な地質遺産が多数残されています。昭和13年(1938)5月には国の名勝に指定されました。

2013/01/14  

銚子ヶ谷カキツバタ群落 【ちょうしがたにかきつばたぐんらく】

 

銚子ヶ谷カキツバタ群落
【ちょうしがたにかきつばたぐんらく】

・県指定天然記念物
・香美町村岡区

●松林に囲まれたカキツバタの大群落
蘇武岳を縫う広域基幹林道の周辺にある銚子ヶ谷のカキツバタ群落は、植物社会学的には冷温帯の日本海型ブナ林であるブナーヒメアオキ群集に成立する湿原です。松林に囲まれた湿地には、何万株もの紫色のカキツバタが咲き乱れます。
指定範囲は湿原とその周囲(集水区域)15.36ヘクタールに及びます。4,000年以前からのカキツバタが確認され、過去の植物史を物語る湿原として大変貴重なものです。

2011/11/21  

和池の大カツラ【わちのおおかつら】

 

和池の大カツラ【わちのおおかつら】

和池の大カツラ
・県指定天然記念物
・香美町村岡区和池
 

●関連情報
但馬高原植物園

●渓流をまたぐ圧巻の姿、根元から湧き出る水は1日5000t
県の天然記念物に指定されている「和池(わち)の大カツラ」は渓流にまたがって根を張った巨木で、樹高約38m、幹まわり約16m、樹齢は1000年を越えるといわれています。主幹は支幹の太さ3m内外の樹叢10数本に囲まれ、樹冠幅は東西に各10m、南側16m、北側10m。「但馬高原植物園─瀞川平─」の園内、うっそうとした原生林の森に立つ老齢の巨木は神秘的な雰囲気を漂わせています。
「カツラの木は一里四方の水を集める」といわれるように、標高約700mの高地にあって、その根元からは1日に約5000tもの清水がこんこんと湧き出ています。水温は年間を通して約10度と非常に冷たく、極めて純度の高い軟水で、色度、濁度、臭気、味など、どれをとっても優れた名水として知られています。コーヒーやお茶、料理などに適し、肌にもやさしい水です。また、古くから下流の田畑をうるおし、人々の暮らしを支えてきた命の水でもあります。この湧き水は高坂川の源流で、100mほど下流にはバイカモの群生地が、200m下流には和池の大池を中心とした湿地帯が広がっており、一帯は「但馬高原植物園─瀞川平─」として整備されています。