2011/06/22  

円通寺【えんつうじ】

 

円通寺【えんつうじ】

円通寺
・豊岡市竹野町

・絹本淡彩月庵宗光像
県指定絵画

●名僧月庵和尚が創建、別名あじさい寺

別名あじさい寺と呼ばれ、臨済宗南禅寺派、中本山で、最高の儀式の執行権、宗義統制権や寺号、本尊、院号などの授与権を含む教学上の特権、その他宗政上の特権を有した大本山に次ぐ格式のある寺院です。元中6年(1389)時の但馬守護、山名時義・時熈(ときひろ)父子が、高僧月庵和尚をして円通寺を創建しました。 しかし、その直後、同年5月4日に山名時義は没してしまいました。時義の墓所が今も円通寺にあります。
月庵は嘉暦元年(1326)美濃国に生まれ、朝廷より正続大師禅師と追諡(ついし)された禅僧です。但馬国に住んだのは貞治6年(1367)のことで、生野町大明寺、山東町大同寺も創建しました。

寛永21年(1644)9月には、沢庵和尚が寺を訪れ、多くの詩を残しています。また後年、大石蔵之助の妻大石りくなど多くの著名人が来寺しています。享保5年(1720)に焼失など幾多の変遷はありましたが、現在なお600年の伝統は守り続けられています。
県指定重要文化財の絹本淡彩月庵宗光像は、曲ろくに座す月庵の肖像が斜左から描かれています。永徳3年(1383)月庵58歳の時のもので、図上に自書の文字が記されています。

2011/06/22  

極楽寺【ごくらくじ】

 

極楽寺【ごくらくじ】

極楽寺
・豊岡市城崎町湯島

・山門
市指定文化財

・予約すれば法話、座禅が可能
TEL0796-32-2326

●沢庵禅師が再興した禅寺
 室町時代初期の応永年間(1394~1428)、出石・宗鏡寺の創始者、金山明昶(めいちょう)禅師が開きましたが、その後荒廃し、江戸時代に沢庵禅師によって再興されました。
「来ん春を深雪の底にひきよせて、冬ひとしおの出湯なりけり」温泉好きだった沢庵は、城崎で詠んだ歌を多く残しています。湯治に訪れる度に宿として使っていた極楽寺を臨済宗の寺として再興したのです。
その後、慶安5年(1652)、豊岡藩主杉原伯耆守(ほうきのかみ)の帰依を受け、領地などを寄進されて今日の寺容が築かれました。本堂は明治45年(1912)に焼失し、現在の本堂は大正10年(1921)に復元されたものです。
元禄年間(1688~1703)に建てられた山門は現存しており、豊岡市城崎町の文化財に指定されています。

境内には白砂で「心」の文字が描かれた「清閑庭」があります。白と黒のコントラストをもつ枯山水の石庭で、裏山から湧出する清泉「独鈷水」が庭内をうるおしています。
独鈷とは仏様が手にしている仏具のこと。昔、城崎温泉の開祖といわれる道智上人が、温泉湧出を願い千日間曼陀羅行を続けている時、手にもった独鈷で岩壁に穴をあけると、水が沸き出してきたと言われています。以来、一度も枯れたことのない城崎の名水の一つです。近くには線刻の薬師如来が祀られ、眼病平癒に霊験あらたかと言われています。

また、熱病封じの「青面金剛大童子」や一芸を成就させる「弁財天」、童男童女の守護仏「一星地蔵尊」なども祀られており、今日も多くの人の信仰を集めています。
裏山は四国山と称する霊山で、山頂には文化年間に建てられた「大師堂」というお堂があり、山道には88体の石仏が祀られています。この浄域に囲まれた禅寺は、温泉街に隣接しながらも閑静で、静寂な時が流れています。

2011/06/22  

三川権現社【みかわごんげんしゃ】

 

三川権現社【みかわごんげんしゃ】

三川権現社
・香美町香住区三川
●山岳修験道の行場として栄えた日本三大権現のひとつ
ブナやシャクナゲが群生する香美町香住区の三川山は、古来より山岳修験道の行場として栄えた古霊場です。 修験道の開祖といわれる役行者(えんのぎょうじゃ)が674年に蔵王権現を勧請して開いたと伝えられています。 三川権現は、 大和の大峯山、伯奢の三徳山と並び、日本三大権現に数えられ、かつては歴代の国主、諸公をはじめ一般の人々の信仰も篤く、隆盛を極めていました。

しかしふもとにある三川権現社は、天文7年(1538)、雷火によって奥の院を焼き伽藍を焼失します。その後一時再建されますが、天保3年(1832)に但馬有史以来といわれる山津波(土石流)によって全ての建造物を流失、埋没してしまいました。
出石城主仙石氏や村岡城主山名氏らが再興を計り、高野山大僧正と信徒らが蔵王堂を再建して、現在の三川権現社があります。
現在、5月3日の山開きには全国各地から山伏や行者が集まり、三川権現蔵王堂前で盛大な護摩供養が行われます。「知恵の火で煩悩を焼く」という護摩供養は、積み上げた護摩木に火をつけ、参拝者が願いを込めた小木を炎の中に投げ入れるという火の祭で、家内安全や海上安全、無病息災など所願の成就が祈られます。

また、三川権現には「ぽっくり尊」という、老いてから大往生できるという仏様も祀られています。苦しみを身替わりに背負ってくれるという代苦仏です。さらに全国観音霊場(四国、西国、板東、秩父の合計188ケ所)のお砂文があり、ここに来れば一度に巡ることができるようになっています。
今も修験道の地として知られる三川権現、近年は年間を通して多くの参拝客が訪れています。