中・一宮神社の社叢【なか・いちみやじんじゃのしゃそう】
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●深い緑に包まれた、一宮神社の神社の森 養父市大屋町中地区・一宮神社の社叢(神社の森)は、県指定の天然記念物。標高160mの神社裏山の急斜面は深い緑に被われ、カシ類を中心にケヤキ、イチョウ、スギなどの木々が茂っています。 高木層はカシの木が最も多く、ほかにケヤキなどの15種類の大木が混生し、常緑樹、落葉樹があります。それらの高木層の下には、シダ類を主として約30種ほどが自生し、種類が豊富なことが特徴です。 |
中・一宮神社の社叢【なか・いちみやじんじゃのしゃそう】
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●深い緑に包まれた、一宮神社の神社の森 養父市大屋町中地区・一宮神社の社叢(神社の森)は、県指定の天然記念物。標高160mの神社裏山の急斜面は深い緑に被われ、カシ類を中心にケヤキ、イチョウ、スギなどの木々が茂っています。 高木層はカシの木が最も多く、ほかにケヤキなどの15種類の大木が混生し、常緑樹、落葉樹があります。それらの高木層の下には、シダ類を主として約30種ほどが自生し、種類が豊富なことが特徴です。 |
堀畑のハコネウツギ【ほりはたのはこねうつぎ】
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●紅白色の花を混じえる古木 ハコネウツギは日本全国の沿海地に自生する落葉低木。5月~6月中旬にかけて花が咲き、初めは白色、後には淡紅色、さらに紅色へと変化 して、最盛期には3色の花がらを楽しむことができます。紅白色の花を混じえることから「ゲンペイ(源平)ウツギ」と地元では呼ばれています。 この樹は萌芽復元性があり、成長が非常に早く、強健で移植が容易なので庭園や公園、生け垣などに植栽されます。また、耐潮性に優れているので海浜にも植えられています。 |
栲幡原神社のカシ林【かごはらじんじゃのかしりん】
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●昔のままの姿が現存する、自然林のカシ林 自然植生の形で今に残る、県指定の天然記念物・栲幡原神社(養父市大屋町和田)のカシ林。人の手がほとんど入っておらず、これだけ自然林の形で残っているのは非常に珍しいとされています。 またその規模も、面積2,545平方メートルと相当広く、当地域の代表的な自然林と考えられています。 栲幡原神社は、南北朝時代の武将、楠木正成の一族と伝えられる和田氏によって創建された神社。その歴史のある神社の広大な裏山に、カシ林が広がっています。シラカシ、ウラジロガシ、アラカシなどのブナ科コナラ属のカシの代表たちが、山の斜面に生い茂っています。 また、カシ、ケヤキのほか、ムクノキ、アカシデなどの大木も繁茂し、その厳かな林の雰囲気をよりいっそう引き立てています。 |
ハッチョウトンボ
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●体長は1cmあまり、日本一小さなトンボ 日本に生息するトンボの仲間では最も小さく、体長は2cmにも満たず、後の羽の長さも1.5cmぐらいしかないので、よく見ないとトンボだということがわかりにくいくらいです。 一般にはミズゴケやモウセンゴケ、サギソウなどが生えている、日当たりのよい、湧き水のある湿地にいます。オスは成熟すると真っ赤になり、メスは黄色と茶色の縞模様で、一見するとヒラタアブのように見えます。 但馬では、低山地の谷間などに小規模に生息しており、一般に5月下旬~8月中旬ごろまで見られますが、遅いものは9月に入っても見られることがあります。 数少ない生息地のなかで、養父市大屋町加保坂湿地は、但馬では最も標高の高い生息地。平野部では、豊岡市内で1983年に17カ所の休耕田で発見されました。しかし10年後の調査ではそのうちの3カ所でしか見つからず、やはり開発が原因ではないかと考えられます。デリケートなトンボなので、ほんのちょっとした環境の変化によって、すぐに絶滅してしまうのです。ほかに朝来市和田山町でも水田跡の湿地で生息が確認されています。 小型で飛翔力の乏しいこのトンボが、どのように休耕田に分布を広げているのかは、よくわかっていませんが、縄張り行動の研究によると、オスには縄張りをもってメスを待つものと、草の陰に隠れて縄張りの主がいない間にメスを横取りするものの、2タイプがあると報告されています。 |
ヤイロチョウ
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●声はすれど姿は見えず、極彩色の渡り鳥 ヤイロチョウは「八色鳥」と書きます。夏の渡り鳥で、極彩色ともいえる派手な色をしており、「ホホヘン、ホホヘン」と鳴きます。但馬では30年ほど前から、この鳴き声で知られていましたが、山の茂みの中にいるので、めったに姿を見かけることはなかったそうです。 それが1993年6月に、豊岡市竹野町で見つかりました。民家の窓に当たって畑に落ちたところを保護されたもので、見つけた人もその美しさに驚いたということです。この年は渡来数が多かったのか、養父市八鹿町石原の山、来日岳、竹野谷などでも鳴き声が確認されたそうです。 |
ギフチョウ
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●春の訪れとともにあでやかに舞う、春の女神 明るい黄色と黒の縞に、赤とブルーのすそ模様をひるがえし、花から花へ舞い飛ぶようすは実にあでやか。ようやく訪れた春、ソメイヨシノの開花とともに現れるギフチョウは、誰が名づけたのか、「春の女神」の名にふさわしい美しいチョウです。 日本特産のチョウで、本州のみに生息しています。アゲハチョウの仲間ですが、やや小型。兵庫県下にも生息地は多くありますが、各地とも環境の悪化や乱獲もあって個体数の減少が目立ち、絶滅したところもあります。 但馬では、扇ノ山、妙見山、三川山などの山地から、豊岡市内の妙楽寺、愛宕山、大師山などの低山地まで、広くあちこちで見られますが、これも徐々に減少の傾向をたどっています。 ●落ち葉の下で10ヶ月も眠って、春を待ちます |
モリアオガエル
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●梅雨になると産卵場に集結、メスをめぐって争奪戦 5~6月ごろ、木の枝に、白い泡状の卵を産みつけることで有名なカエルで、背中には緑色の地に紅褐色の斑紋があります。 地域によっては天然記念物として保護されており、但馬の各地にも広く分布していますが、そのわりに目にすることが少ないのは、普段、山地の木の上で生活することが多いから。産卵期以外はあまり人目につかないようです。 モリアオガエルは産卵のため、梅雨の時期になると、近くの林から池や水たまりの上に張り出した木を目指して集まってきます。そうして周囲が暗くなったころ、産卵場となる木の枝に登ります。木の枝に陣取ったオスは「クックックッ」と鳴いてメスを誘い、メスが近づくと、メスの背中に乗って、産卵に適した枝先まで移動します。このとき、ほかのオスたちもメスを奪おうと飛びついてきます。産卵場所に着くと、背中に乗ったオスは、メスの腹部を絞るようにしてゼリー状の粘液と卵を出させ、後足で粘液をかきまわして泡状にするのです。こうして枝に産み付けられた卵は1~2週間でふ化し、オタマジャクシは、枝の下にある池や水たまりに落ちて、夏ごろには小さなカエルに変態していきます。 |
オオサンショウウオ
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●世界最大の両生類、世界でたった3種の貴重な生物 「生きた化石」といわれるオオサンショウウオは世界最大の両生類で、カエルやイモリの仲間です。その発生は2億年前にも遡りますが、ヨーロッパでは氷河期を経てほとんどが滅び、現在地球上では、日本、中国、アメリカで、わずか3種しか残っていないという貴重な生物です。アメリカのものは「ヘルベンダー」(地獄に向かう人)と呼ばれ、大きくて70cmほど、中国のものは「ワーワーユイ」と呼ばれ、150cmほどになるそうです。 ●但馬では身近にみられる特別天然記念物 兵庫県では但馬・丹波などのほとんどの河川の上流部に生息していることがわかりました。但馬では円山川、大屋川、八木川、出石川、竹野川など、どこにでもいる身近な生き物といえるでしょう。オオサンショウウオが棲むには、エサとなる生き物が豊富で生態系が保たれ、川岸に住みかとなるくぼみや奥行きのある産卵巣などが必要です。平成2年から6年間かけて行われた養父市建屋川の治水工事では、オオサンショウウオの生息と治水を両立させるため、全国でも初めてのさまざまな取り組みがおこなわれました。 |
古生沼の高地湿原植物群落
【こせいぬまのこうちしつげんしょくぶつぐんらく】 |
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●国内高山性湿原植物群落の南限地 氷ノ山は、兵庫県の最高峰で、標高は1,500m余り。それなのに、山頂付近の湿地や岩場には氷河時代の植物が今も生き残っています。これらは残存植物と呼ばれ、とくに貴重な植物です。 氷ノ山の頂上から東方へ130mほど下ったあたり、養父市奈良尾と養父市大屋町横行にまたがる、標高1,498m、面積1,000平方メートルほどの湿原があり、豊富な湿原植物が自生しています。北方系の亜高山植物の宝庫で、オオミズゴケ、ヒメミズゴケ層がよく発達し、その中にツマトリソウ、クサゴケ、コイヌノハナヒゲ、アイバソウ、トキソウ、キソチドリ、バイケイソウなどが生え、池の部分にはヤチスゲが、周辺の半乾湿地にはアカモノ、エゾリンドウ、モウセンゴケ、マイズルソウが、さらにその周辺にはイヌツゲ、アカミノイヌツゲなどが生い茂り、湿地を囲む低木としてはクロモジ、マンサク、キャラボク、ナナカマド、アシオスギなど、50種以上が自生しています。 ここは国内高山性湿原植物群落の南限地で、1965年、県の天然記念物に指定されています。人の手の入らない原始の世界が残る氷ノ山の、ふところの深い豊かな自然の表情がこの湿原にもうかがえます。 |
加保坂のミズバショウ自生地【かぼさかのみずばしょうじせいち】
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●学術的にも貴重な、ミズバショウ自生の南西限 ミズバショウはサトイモ科の植物で、本州の中部地方以北、北海道、サハリン、カムチャッカ、東シベリヤの温帯から寒帯にかけて分布し、山中の湿地や湿原に群生する多年草です。 一般に、尾瀬原や東北・北海道など北国の春を彩る植物として知られ、自生地の南限は岐阜県・蛭ヶ野高原とされていましたが、1975年に、大屋町加保坂でも自生していることがわかりました。最初は自生かどうかの議論もありましたが、泥炭層の花粉分析によって約11000年前から自生していたことが確認されました。ここが日本でのミズバショウの南西限で、学術的にも貴重な発見となりました。 標高520m、約4,000平方メートルの湿地のあちこちでは、4月の中ごろから、約2000株のミズバショウが白い花を咲かせ、4月下旬~5月上旬が見ごろとなります。 毎年4月29日(祝)には、ミズバショウ祭りが行われ、多くの人でにぎわいます。 |